歯周病の原因タイトル画像歯周病の原因

目次

  • 1.歯周病の原因は?その仕組みについて
    歯周病は歯を失う2大原因の1つ
    歯周病は歯茎や骨が静かに破壊されていく病気
    歯周病はプラーク内の歯周病菌が原因
    歯周病菌はバイオフィルム(保護膜)を形成する
    バイオフィルムや歯石は物理的な力でしか落とせない
  • 2.歯周病の初期症状~悪化した場合の症状
    健康な歯周組織:正常な歯茎は薄いピンク色
    歯肉炎:赤みや腫れをともなう歯茎に限定した炎症
    歯周炎:歯周組織の深部まで進行し、歯槽骨を破壊していく 軽度歯周炎・・・歯茎の腫れや赤みがさらに強くなり、出血も多くなる 中等度歯周炎・・・歯が揺れはじめ、痛みをともなう 重度歯周炎・・・歯がグラグラになり、やがて抜け落ちる
  • 3.歯周病になりやすい人 歯周病の原因になる行動や習慣
    口腔内のリスクファクター:歯並び・歯ぎしり・口呼吸など
    全身的なリスクファクター:ストレス・糖尿病・肥満など
    生活習慣の中のリスクファクター:喫煙・不規則な生活など
  • 4.歯周病は全身にも影響を及ぼす病気
    誤嚥性肺炎
    動脈硬化による狭心症や心筋梗塞、脳梗塞など
    糖尿病
    早産、低体重児出産
  • 5.歯周病治療の医院はしっかりと選定をしましょう

歯周病(歯槽膿漏)という病気を知ろう

歯周病の原因ページ導入背景画像
歯周病は成人の8割がかかるといわれる国民病で歯を失う大きな原因の1つです。
また近年は心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病といった全身疾患が歯周病によって引き起こされることが指摘されています。

歯周病を予防、治療することは、もはや口腔内の健康維持だけでなく全身的な健康維持にも欠かせない要素となっています。
まずは歯周病とはいったいどのような病気で、私たちの体にどのような影響を与えるのかをよく理解しておきましょう。

1.歯周病の原因は?その仕組みについて

はじめに歯周病とはどういう病気なのか、またどのような原因で歯周病になるのかを詳しくみていきましょう。

歯周病は歯を失う2大原因の1つ

歯を失う2大疾患といえば虫歯歯周病です。
実際に全国の歯科医院を対象におこなった調査においても、抜歯の原因の3割を虫歯が、4割を歯周病が占めています(※)。

さらに歯周病が原因で歯を失う割合は、年齢を重ねるごとに増加していきます。
歯を失う2大疾患の虫歯と歯周病の円グラフ

私たちの口の中には無数の細菌が住みついており、その中の虫歯菌が歯に感染すると虫歯を、そして歯周病菌が歯を取り囲んでいる歯周組織に感染すると歯周病を発症します。
つまり虫歯も歯周病も口の中の原因菌が起こす感染症なのです。

※参考資料:永久歯の抜歯原因調査報告書 財団法人8020推進財団

歯周病は歯茎や骨が静かに破壊されていく病気

歯周組織をさらに詳しくみていくと

歯根(歯の根っこ)を覆うセメント質
歯を支える歯槽骨(しそうこつ)
歯と歯槽骨の間を埋める歯根膜(しこんまく)
そしてそれらに覆いかぶさる歯茎
4つから構成されています。
歯と歯茎の構造図

歯周病はまず表面の歯茎に歯周病菌が感染して炎症を起こします。

炎症によって弱っている歯茎からさらに歯周病菌が侵入するとその下の歯根膜や歯槽骨、セメント質へと炎症が広がり、それらの組織を破壊しはじめます。

歯周病の怖いところは、ここに至るまで痛みなどの大きな症状があらわれないことです。

歯周病は最終的に歯槽骨を次々に破壊していきますがそこまで進行してやっと「咬むと痛い」「歯がぐらつく」などの症状があらわれてきます
(定期的に検査やメインテナンスなどのお口のお掃除へ通いアドバイスをうけている患者様に関しては防げる場合がほとんどです)。
健康な歯肉と歯周炎の歯肉の比較図

歯周病のもう1つの呼び名に「歯槽膿漏(しそうのろう)」があり、以前はこの歯槽膿漏という言葉のほうがよく使われていました。
膿漏とは「膿が絶えず流れだす」という意味で、歯周病がかなり進行したころにこのような症状があらわれます。
つまり歯槽膿漏とは歯周病の重度の状態をあわらしたもので、昔はその状態になるまで病名がつけられなかったほど、歯周病は症状があらわれにくい病気なのです。

歯周病菌のイメージ画像

歯周病はプラーク内の歯周病菌が原因

私たちの口の中に存在する細菌は300種類以上にも及ぶため歯周病の原因となるすべて菌が特定されているわけではありません。
しかし特に悪性度が高く、歯周病が重症化しやすいのは

〇ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.g菌)
〇トレポネーマ・デンティコーラ(T.d菌)
〇ターネレ・ラフォーサイシス(T.f菌)
の3つ菌であることがわかっています。

そのほかの歯周病菌としてはアクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス(A.a菌)、プレボテーラ・インターメディア(P.d菌)などの存在が知られています。

これらの歯周病菌は口の中でバラバラに活動しているわけではなく様々な菌と結びつきながら集合体をつくっていきます。
この集合体によってできる細菌の塊がプラーク(歯垢)です。

プラークは食後8時間あたりから形成され、時間の経過とともに菌数を増やしながら成熟していきます。

成熟したプラーク1mgあたりの中には10億個もの細菌が存在しているといわれています。

プラーク(歯垢)内の細菌の様子

歯周病菌はバイオフィルム(保護膜)を形成する

プラーク内の細菌たちは、やがて自分たちがすむ集合体を守るようにして表面に薄い膜をはりめぐらします。

この膜はバイオフィルムとよばれ、細菌たちはバイオフィルムの中でエネルギーや様々な情報を交換しあいます。

つまり最初はただの集合体だった細菌たちはバイオフィルムを形成することで互いに協力しあいながらあらゆる環境に対応できる共同体へと変化していくわけです。
歯周病菌は酸素を嫌うため、酸素の少ない歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の隙間を好んで生息しています。

その歯周ポケット内で歯周病菌もバイオフィルムを形成し様々な細菌と共存しながら増殖を続けます。
バイオフィルムが形成される様子

バイオフィルムや歯石は物理的な力でしか落とせない

歯周病は予防するにも治療をするにも、まず歯周病菌のすみかとなるバイオフィルムを取り除くことが重要になります。

私たちの身近なバイオフィルムといえば、お風呂やキッチンなどの排水溝にできるぬめりです。
あのぬめりが洗剤や薬をただふりかけただけで取り除けないことはご存知の方も多いでしょう。
口腔内のバイオフィルムも同様でバイオフィルムに守られた歯周病菌を薬の力だけで除去することはできません。

バイオフィルムを取りのぞくためには排水溝のぬめりをブラシでゴシゴシと磨くように、歯ブラシや歯科医院の特殊な器具を用いて物理的な力を加えるしかないのです。

歯磨きで予防することが大事

また歯の表面に付着したプラークは、唾液の成分によってやがて硬い歯石へと変化します。
ザラザラした歯石の表面は細菌が付着しやすいうえ、さらに歯石によって酸素がさえぎられることも歯周病菌にとっては好都合です。

しかしプラークが歯石になってしまうと歯ブラシでは落とすことができず、歯科医院で専用の器具を用いたクリーニングが必要となります。

2.歯周病の初期症状~悪化した場合の症状

歯周病は歯周病菌が感染する場所によってまず歯肉炎と歯周炎の2つに分類され、さらに歯周炎は軽度、中等度、重度という進行具合によって病状も異なります。

健康な歯周組織:正常な歯茎は薄いピンク色

正常な歯周組織は歯根の周りを歯槽骨と歯根膜が取り囲み、その上に薄いピンク色の歯茎が覆いかぶさります。
歯と歯茎の境目にある歯肉溝(しにくこう)と呼ばれる溝の深さは1~2mm程度です。
また歯と歯の間の歯茎はきれいな三角形を描いています。
そのほか歯茎の表面に、みかんの皮のようなブツブツとした凹み(スティップリング)が見られるのも正常な歯茎の特徴です。

健康な歯肉のイメージ画像

歯肉炎:赤みや腫れをともなう歯茎に限定した炎症

歯周組織は歯茎とセメント質、歯根膜、歯槽骨の4つから構成されていますが、歯周病の炎症が歯茎に限定された初期の病態を歯肉炎といいます。

歯と歯茎の間にある歯肉溝にプラークがたまり、その状態が長く続くと歯肉炎を発症します。
歯肉炎になると歯茎が赤く腫れ、また鋭くとがっていた歯と歯の間の歯茎も腫れによって丸みを帯びてきます。

歯肉炎では「歯茎がむずがゆい」「歯ブラシを当てると出血する」というような症状があらわれますが、痛みはほとんどありません。

歯肉炎の炎症は歯茎に限定されているため、この段階では他の3つの組織(セメント質、歯根膜、歯槽骨)はまだ健康な状態を保っています。また歯肉炎は歯磨きをしっかりおこない、歯肉溝にたまったプラークを徹底的に除去すれば正常な状態へ戻ります。

しかし歯肉炎では歯茎が腫れることで歯肉溝が一時的に深くなり、歯肉ポケット(仮性ポケット)と呼ばれる隙間ができてしまいます。

この歯肉ポケットは歯肉炎が改善すれば消失するものですが、この段階でしっかりプラークを落としておかないと、ポケット内で歯周病菌がますます増殖します。
そうなると歯肉炎は次の歯周炎という段階へと進行してしまうのです。

歯肉炎→歯周炎になり悪化

歯周炎:歯周組織の深部まで進行し、歯槽骨を破壊していく

歯肉炎が進行し、歯茎以外の歯周組織にまで歯周病菌が感染してしまうと歯周炎を引き起こします。

歯周病の症例写真歯周病の症例写真

軽度歯周炎・・・歯茎の腫れや赤みがさらに強くなり出血も多くなる
軽度歯周炎では炎症がさらに歯根に向かって波及し、歯茎の赤みや腫れが強くなっていきます。また歯根膜や歯槽骨が破壊されはじめ、それによって歯と歯茎の隙間が深くなっていき歯周ポケットを形成していきます。歯周ポケットは酸素が苦手な歯周病菌には恰好のすみかとなり、ポケット内にもプラークや歯石が蓄積していきます。
中等度歯周炎・・・歯が揺れはじめ、痛みをともなう
歯周炎は進行するにしたがって歯槽骨を破壊していきます。健康な状態では歯根のすべてを歯槽骨が取り囲んでいますが、中等度歯周炎になると歯根の長さの1/3~1/2ほどしか歯槽骨が残っていません。この段階になると歯も揺れはじめ、食べ物が咬みにくくなります。また歯茎が大きく腫れたり、痛みを伴うなど日常生活にも支障がでてきます。
重度歯周炎・・・歯がグラグラになり、やがて抜け落ちる
歯周炎は進行するにしたがって歯槽骨を破壊していきます。健康な状態では歯根のすべてを歯槽骨が取り囲んでいますが、中等度歯周炎になると歯根の長さの1/3~1/2ほどしか歯槽骨が残っていません。この段階になると歯も揺れはじめ、食べ物が咬みにくくなります。また歯茎が大きく腫れたり、痛みを伴うなど日常生活にも支障がでてきます。

歯周ポケットの深さによる歯周病の進行度合い

3.歯周病になりやすい人 歯周病の原因になる行動や習慣

歯周病は歯周病菌が原因で起こる病気ですが、そのほかに病状を悪化させてしまう様々な危険因子(リスクファクター)が存在しています。

口腔内のリスクファクター:歯並び・歯ぎしり・口呼吸など

女性が睡眠を取る写真

歯周病のリスクを高める口腔内の問題には、歯並びや歯ぎしり、口呼吸などが挙げられます。

まず歯並びが悪いと汚れがたまりやすくなるほか歯磨きをしても歯ブラシをうまく当てられない部分は不衛生になりがちです。
合わせてプラークの除去(プラークコントロール)が十分におこなわれず、歯周病が発生しやすくなります。

ただし個人差はありますが事前に矯正をしているお子さまなどはリスクを軽減できる可能性があります。

また歯ぎしりや噛みしめといったクセのある人は、普段から歯や歯周組織に強い力がかかっています。
歯周炎を発生した状態でこのような強い力が歯周組織に加えられると、組織の破壊をさらに増悪させる原因になってしまいます。
過去にインプラントを行なったことがあるという患者様はこちらも最新の注意を払う必要があります。
歯や歯周組織に強い力で噛みしめる力がかかっている

さらに花粉症やアレルギー鼻炎によって慢性的な鼻づまりのある人は口呼吸になりがちですがこの口呼吸も歯周病を悪化させる大きな要因です。
口呼吸によって口の中が乾燥すると唾液による洗浄効果がおいつかず、歯周病菌などの細菌が増殖しやすくなってしまいます。

全身的なリスクファクター:ストレス・糖尿病・肥満など

歯周病菌の感染によって発生する歯周病は、体の免疫機能とも深い関わりがあります。
例えば歯周病は年齢を重ねるごとに病態が悪化しやすい傾向がありますが、これは加齢による免疫機能の低下が大きく関係しています。

年齢以外に免疫機能を低下させるものにストレスや糖尿病などがあります。
また免疫抑制剤といった免疫力を下げる薬剤の服用も、歯周病を増悪させる要因です。

肥満も歯周病を悪化させる全身的な要因の1つですがそのメカニズムは上記とは少し異なります。

近年の研究によって、脂肪を貯めこむ脂肪細胞からTNF-αと呼ばれる炎症物質が分泌されることがわかってきました。

このTNF-αが血流にのって歯周組織へ運ばれると、歯周炎の炎症をさらに増大させてしまうことが明らかになっています。
歯周病の要因の一つである肥満。体重計に乗る写真

生活習慣の中のリスクファクター:喫煙・不規則な生活など

お酒、たばこの写真

歯周病は歯磨きや喫煙、不規則な生活といった生活習慣とも密接な関係があるため、生活習慣病として位置づけられています。

特に喫煙は歯周病を増悪させる最大のリスクファクターであるほか歯周病治療の効果を低下させる要因にもなります。

そのため歯周病治療をおこなう多くの歯科医院では節煙や禁煙を推奨しています。

また不規則な生活や偏った食事は免疫機能を低下させ、歯周病にかぎらず様々な病気のリスクを高めることは広く知られていることです。

4.歯周病は全身にも影響を及ぼす病気

近年の研究によって歯周病は口腔内の病気にとどまらず、全身的な病気を引き起こす原因になることが明らかになっています。

全身疾患に繋がる歯周病のイメージ画像

誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは口から食道を経て胃に運ばれる食べ物や飲み物などが、誤って気管を通って肺に入り込み炎症を起こしてしまう病気です。
誤嚥性肺炎は飲み込む力が低下した高齢者に多く発生します。

誤嚥するものは食べ物や飲み物のほかに唾液があります。
口の中が不衛生で唾液の中に歯周病菌をはじめとする多くの細菌が存在していると、誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。
誤嚥性肺炎
歯周病が進行して口腔内の歯周病菌が増殖するとその歯周病菌が歯茎の血管から全身の血管へ入り込みます。

歯周病菌によって血管内に刺激が加わると血管壁にドロドロとした粥状の物質が沈着しやすくなり、動脈硬化を引き起こします。

動脈硬化によって血流が悪くなると狭心症の原因になるほか、はがれた血管壁が心臓や脳へ運ばれ心筋梗塞や脳梗塞の原因になってしまいます。
糖尿病
糖尿病による免疫力の低下が歯周病を悪化させることは以前から知られていましたが、反対に歯周病が糖尿病を増悪させる要因になることが近年の研究で明らかになっています。

つまり歯周病と糖尿病は互いの病状に悪影響を及ぼす関係にあるのです。

歯周病が発生した場所には炎症に関わる様々な化学物質が存在しています。
その化学物質が血流にのって体内へと運ばれると、血糖値を下げるインスリンの働きを弱めることがわかっています。

これにより血糖値のコントロールがうまくおこなえず、糖尿病を発症または悪化へとつながっていきます。
早産、低体重児出産
妊娠中の女性が歯周病になると早産(妊娠37週未満の出産)や低体重児出産(体重が2500g未満の胎児の出産)のリスクを高めることが明らかになっています。

これは口の中の歯周病菌が血流にのって体内へ入り、胎盤を通って直接胎児に影響を与えているのではないかと考えられています。

また歯周病によって発生した様々な炎症物質が血液を介して子宮へと運ばれ、子宮を刺激し収縮させる点も指摘されています。

5.歯周病治療の医院はしっかりと選定をしましょう

これまでを踏まえて、歯周病治療をする医院と先生はしっかりと選んでいく必要があります。
また、歯周病治療には保険の範囲内で認められた処置、保険外(つまり自費)で専門的に行なっていらっしゃる先生がいらっしゃいます。

例えば、自費の歯周病治療になりますが、組織の再生外科処置(再生療法)などの方法もございます。ご自身の将来の希望と現状を照らし合わせて決められるのが良いでしょう。

また、治療が怖いという患者さんの多くは、痛いからといった理由が多いと思います。

しかし、現代の歯科治療の麻酔はほとんど痛みを感じませんし、ご希望であれば静脈内鎮静法といったやり方もありますので、お困りの方は一度相談いただければと思います。

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治療の流れ・期間・費用は?
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